公開講座
柴田准教授は、インターネットと表現の自由の関係を名誉棄損やプライバシー侵害の観点から解説しました。 インターネットの登場によって誰もが容易に情報発信者となれるようになり、表現の自由の主体と意味内容 が変化したことを、まず指摘しました。そして、表現の自由に関する法的トラブルとして名誉毀損、侮辱、プラ イバシー侵害をとりあげ、インターネット以前と以後を対比しつつ、民法・刑法や判例の見解の変化、新法制 定・法改正・判例変更の動向を解説しました。そのうえで、インターネット上では投稿した段階で違法行為が 発生し得るという認識が重要であると結論づけました。
松永准教授は、インターネットを介した消費者契約や著作権侵害などについて、国際私法の観点から解説しました。日本から他国の英会話学校のオンライン講座を受講する契約をキャンセルする際にどの国の法律を適用するか(準拠法)、日本人のアニメ著作物を他国の人が別の国の動画共有プラットフォームに掲載して著作権侵害が発生した場合にどの国に裁判管轄権があるか(国際裁判管轄)、といった国際取引に関する国際私法上の問題について解説しました。インターネットの普及で国際取引が容易になったが、トラブルへの法的な対応が国により異なるため慎重な行動が必要だと締めくくりました。
道谷教授は、社会問題としてもクローズアップされているインターネットをめぐる犯罪について、刑法や刑事訴訟法といった刑事法の観点から解説しました。インターネット利用率などの各種統計を紹介された後、「物」から「情報」中心の社会へ変革していく中で、情報窃盗が不可罰である点を例に、現行の法体系が「情報」を的確に扱っていないことを指摘しました。そして、これまで発生したインターネット犯罪を紹介した上で、それらに対応すべく刑法や刑事訴訟法がどう改正されたかを解説しました。そして、インターネットは国境を越えるため、世界共通の法的ルールの制定は困難ゆえに、法的な規制での保護には限界があると結論付けました。